« 次男を信じろ | トップページ | 西松疑獄の不始末 »

2008年11月21日 (金)

報道されない受賞の経緯

Plc0805241642009p1_2今年もこれに近づき、毎年恒例の今年の世相を表す漢字一字の発表される日が迫っている。麻生首相が今年の漢字を果たして正しく読めるのかに注目しているw。

さて、元厚生事務次官連続殺傷事件で影が薄くなってしまったが、田母神前航空幕僚長の話。自衛隊小松基地の借り上げ宿舎の契約が、アパグループに偏っているようだが、この程度では守屋前防衛事務次官の事案に及ばないだろう。契約をちょこっと見直して終わりになる。むしろF-15に搭乗した経緯や、論文の賞金が胡乱な目的のものか、といった方が気になる所だ。産經新聞社から出ているアパグループCEO元谷氏の著書『報道されない近現代史』を読んで、改めて田母神氏の論文(もしそれを論文と呼ぶなら)のお粗末さに嘆息せざるを得ない。

田母神氏は、安倍政権の時に久間元防衛大臣によって航空幕僚長に任命された。今年名古屋地裁でイラクへの自衛隊派遣が違憲であるとの判決が出たとき、『そんなの関係ねぇ』と言い放って顰蹙を買った人物である。この余波で統合幕僚長への昇格が無くなった訳であるが、今にして思えば、福田政権はこのとき何らかの処分を彼に与えていれば、麻生政権で懲戒処分を下し易かっただろうが、勿論福田前首相が何かをするはずもなく、放置された。

今回の事案で、初動を誤ったと感じたのは、浜田防衛大臣の対応だ。麻生首相が、懸賞金付きの論文募集に論文を応募したことをもって不適切、と話しただけなのに対し、浜田大臣は論文の内容に踏み込んで不適切、と切り捨ててしまった。確かに内容に問題はあるのだが、これを理由に懲戒処分を下すのには、いくらなんでも無理がある。思想・信条の自由にも関わるからだ。政府方針から逸脱する内容の言論が規制される前例を作ってしまうと、官僚はこれを悪用してますます政治家の言論の自由を封じる動きに出かねない。政策にも当然悪影響が出る。

田母神氏が態度を硬化させたのは当然だろうと思う。閣僚が問題発言で辞めるのは、表向き責任をとったことになっているが、実際は国会対策の都合で辞めている。官僚に、発言内容いかんでそれを強要するとなると、彼らは萎縮し、前例を踏襲(とうしゅう)する以外のことをしなくなるだろう。これではいつまでも政治に変化は望めなくなってしまう。

彼は国会で参考人招致を受けた後、『村山談話は言論弾圧の道具』と述べたが、応募した行為よりも、論文内容で咎めるムードが作り上げられてしまった結果、上記の発言が一部で説得力を持ち、彼に同情が集まってしまったのは遺憾である。懲戒免職できなくなるのもまた当然だ。

現在は、上述した小松川基地借り上げ宿舎の件に加え、論文の応募者の半数が自衛隊の幹部官で、空幕と人事教育局が組織的に応募を促していた経緯が明らかになっている。論文の募集自体、田母神氏の提案であるならば、ある程度の数の応募がなければ格好が付かなかったのではないだろうか?自衛官の応募は、はっきりいってサクラのようなものだ。無論これらの行為は、適切な行為ではない。この辺りの件から田母神氏に何らかの処分を迫り(または処分をし)、政治決着を図るのではないか。守屋事件も、大山鳴動してネズミ3匹だったが、今回は1匹だけだろう。アパまでは行かない。

元谷氏の著書では巻頭に要人たちとの写真がこれでもかと掲載されている。F-15の搭乗写真もある。写真に写っていた要人を挙げると、アーミテージ前国務副長官、エンフバヤル モンゴル首相、金泳三元韓国大統領夫妻、デベネシア フィリピン下院議長兼与党総裁、李登輝元台湾総統、森喜朗元首相、馳衆議院議員、北村衆議院議員、元旭鷲山(アパは、何らかの形でモンゴルビジネスに食い込んでいると見られる)などである。写真以外では、安倍元首相、長勢元法務大臣といった清和会の議員や鳩山由紀夫民主党幹事長、航空自衛隊つながりで国民新党の糸川議員(次回から民主党で出馬)などとパイプがある。田母神氏の参考人招致が拍子抜けだったのも上記が関連していると考えるのが妥当だ。

ここは田母神氏の論文受賞の経緯と審査基準に付いて、元谷氏は勿論、渡部昇一教授や花岡信昭氏など審査員を全員国会に呼んで、話を聞くべきではないだろうか?元谷氏は著書の帯で、「『影響力のある人に影響を与える』べく本書を執筆しました」と執筆の動機を語っている。その『影響力のある人』の一人が田母神氏で、実際に『影響を与え』られている。論文の主張内容がその著書に書かれていることとほとんど同じ以外に大賞を受賞する理由が見当たらないからだ。もし仮に『影響力のある人に影響を与える』ための舞台装置として懸賞というイベントが設定され、その効果を最大限にするために田母神氏に大賞を与えるという一種のヤラセであった場合は問題だからだ。懸賞金もプライズではなくリワードとなるからだ。

|

« 次男を信じろ | トップページ | 西松疑獄の不始末 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/130044/43178187

この記事へのトラックバック一覧です: 報道されない受賞の経緯:

« 次男を信じろ | トップページ | 西松疑獄の不始末 »